Bana's diary

Banaがのんき気ままに暮らす小屋。小説「Catherine〜キャサリン〜」を書いてます。キャラは貸したり借りたり

Catherine~キャサリン~9 「ゴースト 1」

これが物心ついた瞬間というのだろうか。 気がつくと廃墟に寝そべっていた。冷たいコンクリートとざらざらした砂が頬を腫れさせる。 今まで何をしていたか、まったく思い出せない。 とりあえず、起き上がる。喉がゴロゴロ動くように、勝手に低い声がもれた。…

Catherine〜キャサリン〜8 「ヒョウキ・リディア 2」

頬に少ない土がへばりつき、不愉快きまわりない。少しの間、意識を失っていたのか、あたりはじんわりと暗くなっていた。ポケットをまさぐるが、時計は出てこない。先週にマリアに取られたのを思い出し、ため息をつく。 リディアはぶるぶるとせわしなく震える…

Catherine〜キャサリン〜7 「ヒョウキ・リディア 1」

「死神狩り・・・恐ろしいことをよく言うなお前は」 「リディアこそ俺のことお前って言ってるじゃんー」 子供のように両頬を膨らませてヒョウキは悪態をついた。 「冗談でも死神を殺せるなど私の前で言うんじゃない」 「冗談なんかじゃないよ、リディアちゃ…

Catherine〜キャサリン〜6 「キャサリン 6」

「まだ夢みたいだ」 ニーナの横でクリスは虚ろに呟いた。ひとり暮らしのクリスはアジトに泊まってニーナから銃の扱い方を教わることになった。キティはホテルに帰り、離れるわけにはいかないとサリーもついて行ってしまった。 ニーナと二人きりのアジトは広…

Catherine〜キャサリン〜5 「キャサリン 5」

次の日、教室で起きた火が予想以上に燃え広がり、本日を含む一週間、クリスの通っていたクラスが学級閉鎖になった事を遅くもサリーから伝えられた。喜ぶべきか喜ばざるべきか。 「クリス、準備できたかしら?」 クリスの病室に今か今かと待ち飽きたサリーと…

Catherine〜キャサリン〜4 「キャサリン 4」

キティは数学教師の腕に駆け寄る。教師が倒れて動かなくなると教室から逃げ出す者、ビクビクと震えるだけで逃げ出せない者、悲鳴を上げる者。クリスはとっさにロッカーの中から実験用のマッチを掴み出し、火をおこして床に放った。 「みんな!!先生が、火を…

Catherine〜キャサリン〜3 「キャサリン 3」

「いいかい、キティ。今から調べるからね。キーワードをくれないか?」 クリスは小さな自分部屋として使っているアパートにキティを呼び出していた。ノートを大事そうに抱えたキティが微笑んで頷く。クリスの部屋は白いザラザラした壁にカラフルな絵の具がこ…

Catherine〜キャサリン〜2 「キャサリン 2」

ご機嫌にノートを抱き、キティは自宅に帰った。キャサリンのノートを引き取ることができ、足取りも軽くなる。そのままの勢いで叔母の家のドアの鍵をポケットから取り出し、鍵穴に差し込んだ。父親がなくなってからは唯一の家族の叔母の家に住んでいる。 軽い…

Catherine〜キャサリン〜1 「キャサリン 1」

病室に入り、一息入れると僕はなぜ花束を持って、同性の患者と向き合っているのかがわからなくなってきた。 「入院するぐらいの大事、しでかしたの?」 「さぁ。よくわからないよ」 クリス・フロストフェローは学校で同じクラスである友達、ハル・スカイハー…